2022年8月24日発表
横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:奈良 寿)は、国連傘下機関である国際連合工業開発機関(UNIDO:United Nations Industrial Development Organization※1)との間で2020年1月に締結した契約のもと、ケニア発電公社(KenGen:Kenya Electricity Generating Company PLC) のオルカリア地熱発電所Iアディショナルユニット、II、IV、V向けに、複数の発電所の発電出力や発電効率などの性能を遠隔統合管理するIoTシステムを導入しましたのでお知らせします。なお、本プロジェクトには経済産業省からUNIDOへの拠出金が活用されています。
オルカリア地熱発電所 II
拡大
ケニア共和国では人口の増加や経済発展に伴い、2021年の電力消費量が2000年の約3倍※2となり、安定的に電力を確保することが課題となっています。火力発電は燃料となる石油の多くを輸入で賄う必要があり、水力発電や風力発電は天候に左右されます。ケニア共和国は世界屈指の地熱資源量を有し、地熱発電は安定した、かつCO2排出量が極めて少ない電源として注目されています。2000年以降、設備が増強され発電量が増えており※2、2021年には同国の発電量の4割以上を占める、最大の電源となっています※3。
アフリカ最大の地熱発電容量を誇るオルカリア地熱発電所※4において、ケニア発電公社は5つの地熱発電所(オルカリア地熱発電所I、Iアディショナルユニット、II、IV、V)を運用しています。管理事務所から最も離れたオルカリア地熱発電所IVは道路距離で20kmほど離れています。これまでは、点在する発電所の運転は個別に管理されており、全体を俯瞰した効果的な運転管理に課題がありました。
当社は、分散した4つの地熱発電所(オルカリア地熱発電所 Iアディショナルユニット、II、IV、V)のデータを、移動体通信網などを利用して一つのシステムに集約し、遠隔地の管理事務所から統合管理が行えるIoTシステムの構築と実装、システムのトレーニングの提供を行いました。このシステムは、運転効率向上支援パッケージ Exapilot、プラント情報管理システム Exaquantumなどを活用しています。各発電ユニットのパフォーマンスを把握し、発電効率が劣化した際の要因解析が可能で、また関連機器のメンテナンス状況を一元管理します。自動での要因解析により、適切な保守を行うことが可能となり、発電効率の最大化と安定的な電力供給の実現に寄与します。発電容量の合計は約575メガワットです。
当社は、再生可能エネルギーである地熱発電を含め、多様化するエネルギーの生産、供給、利用等のサプライチェーン全体にわたり、デジタルトランスフォーメーション(DX)の活用も含めてお客様の安全かつ最適な運用を支援し、環境の持続可能性に貢献していきます。
各社のコメント
UNIDO プロジェクトマネージャーの鳥居 直樹氏は次のように述べています。
本プロジェクトの成功は、プロジェクトパートナーとの緊密な協力と、経済産業省の識見によるものです。UNIDOは、このプロジェクトの肯定的な影響が持続し、ケニア共和国及び地域全体に一層広がると考えています。このプロジェクトは、炭素集約度(エネルギー消費量単位あたりのCO2排出量)を低減しながらエネルギーシステムを強化し、包括的で持続可能な産業開発に貢献します。これによって、特に気候変動への対処といった多面的な開発課題に対して先進的な技術ソリューションを適用する方法を示しました。
ケニア発電公社の常務取締役CEOのレベッカ ミアノ氏は次のように述べています。
本IoTプロジェクトは、データの一元管理(取得・蓄積)を進め、主要なビジネス上の意思決定とプラントの稼働率の最適化に必要な分析結果を提供します。
横河電機執行役員 エネルギー&サステナビリティ事業本部長 中岡 興志は次のように述べています。
当社は長期経営構想において、SoS(System of Systems)を通じた価値提供を目指しています。SoSとは、運用とマネジメントの独立性のあるシステムが連携し、単独では実現できない目的を、システム全体として創発的に実現するものです。今回のプロジェクトでは、複数のプラントの情報をDXによって統合することで、全体最適を可能としました。また、全体の地熱発電量を把握することは、他の方法での発電量を適切に管理することにもつながります。当社は今後もこのようなプロジェクトを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
※1 国連傘下の専門機関のひとつ。開発途上国や市場経済移行国において包摂的で持続可能な産業開発を促進し、これらの国々の持続的な経済の発展を支援する機関。http://www.unido.or.jp/
※2 Global Data, Kenya Power Market Outlook, November 2021
※3 Kenya National Bureau of Statistics Economic Survey, 2022
※4 オルカリア地熱発電所はI、I アディショナルユニット、II、III、IV、Vから成り立つ地熱発電所で、現在稼働中の総発電容量は約930MW。最も古いIは1981年に運用を開始。
以上
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