2023年3月17日発表
横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:奈良 寿)は、OpreX™ Analyzersのラインアップであるプロセスガスクロマトグラフ「GC8000」向けにメンテナンス効率の改善に貢献するソフトウエア「ガスクロマトグラフAIメンテナンスサポート」を開発し、本日発売しますのでお知らせします。
これによりGC8000の測定値に影響が生じる前の測定のわずかな変化を予兆として検知し、適切なタイミングでの保守実現とダウンタイムの削減に貢献します。
ガスクロマトグラフAIメンテナンスサポートの表示画面イメージ
拡大
開発の背景
生産現場では、製品品質を維持するために設備の安定的な稼働が求められています。安定的な稼働には設備の保守が必要ですが、熟練者の減少などによりそのノウハウをいかに継承し作業の効率化を図っていくかが生産現場の課題となっています。
生産現場で使われる当社のガスクロマトグラフ「GC8000」は、複数の成分が混ざっている気体や揮発性の液体を単一の成分ごとに分離して検出し、製品品質の管理に重要となる特定の成分がどれくらい含まれているかを分析する装置です。大規模な石油・石油化学プラントにおいては数十台、多いところでは数百台のGC8000が使われています。
ガスクロマトグラフとその前処理装置にはフィルタ、調圧弁、バルブ、カラム※1検出器など、定期的に保守が必要な部品があります。これらの部品の消耗の度合いは使用環境によって大きく変わるうえに、測定対象や工程によってガスクロマトグラフと装置の仕様は異なり、一台一台で適切な保守の時期が変わります。そのため従来は、適切な保守の時期を測定データから熟練者が解析して一台ずつ見極めるか、余裕をもった保守の時期を設定するかによって異常を防いでおり、突発的なダウンタイムによる損失が比較的低い場合は測定値が異常を示すまで使い続けることもありました。
このようなニーズと状況を踏まえ、当社はガスクロマトグラフのクロマトグラムと呼ばれる測定データから、測定の健全性を予測できるAIを用いたソフトウエア「ガスクロマトグラフAIメンテナンスサポート」をGC8000用に開発しました。AIには、当社の生産工場で実績のある違和感検知AI※2をガスクロマトグラフ用で簡便に利用できるようにしたものを採用しています。
新製品の特長
- 測定の健全性をデータから判別し、適切な時期の保守計画の立案をサポート
部品の消耗などにより正常な測定ができなくなるまでには、クロマトグラム※3と呼ばれるデータにわずかな変化が起こります。その変化は目視が可能ですが変化は多岐にわたり、装置ごとにも変化の特徴や時間軸が異なるためその判別は熟練者を除いては困難でした。
ガスクロマトグラフAIメンテナンスサポートは監視対象となる「GC8000」1台ごとに構築した機械学習モデルによって、正常な測定とは異なるクロマトグラムの変化を「違和感」として検知し、測定を行うたびに正常な状態からどの程度の変化が起こっているかを解析します。わずかな変化でも捉え、測定の健全性を測定の都度、判別することによって、測定値に影響が出る前に保守作業を計画して実施することが可能になります。これにより、必要な時期にのみ保守作業を行うことができ、保守の最適化に貢献します。
一見正常に見えるデータと拡大した時に発見できるクロマトグラムの変化の例
拡大 - 測定の健全性を90日後まで予測しダウンタイム削減に貢献
ガスクロマトグラフでは、測定対象のガスに含まれる複数の成分が時間軸で分かれて検出され、どの程度分かれているか(分離度)が測定品質に影響します。そのためガスクロマトグラフAIメンテナンスサポートでは、違和感検知に加えて、「分離度」を指標として保守が必要なタイミングを予測する機能も搭載しています。
分離度の変化から、90日後の成分の分離度を予測し、設定された分離度の値を下回った場合に通知します。保守が必要なタイミングが事前に分かるため、交換する部品の発注時期の把握や、装置の状態に応じた効果的な保守計画の立案が可能になり、ダウンタイムの削減に貢献します。
90日後予測のイメージ
拡大 - コンサルティングや機器の複雑な設定が不要
ガスクロマトグラフAIメンテナンスサポート上で基準となる日付と監視する領域、通知する値を設定すれば、測定データの変化を検知し、それらの記録を自動で行えます。測定状態の健全性の判別と予測に特化したAIを開発したことで、AI導入時に一般的に必要となるコンサルティングや複雑な機器の設定を必要とせず、誰でも簡単に導入できる仕様を実現しました。機械学習に使用するデータの読み込みや前処理も自動化されています。
1年単位のサブスクリプション形式で使用できるソフトウエアですので少額投資で導入が可能です。
※1 測定対象のガスの成分を分離するための管状の部品
※2 違和感検知AI:プラントや設備の各種の測定データから、運転員が「いつもと違う」と感じるような、通常と異なる状態を検知するAI
※3 成分を検出した際に発せられる出力信号の時間的な変化を記録したデータ
主な市場
石油、石油化学、鉄鋼、電力・ガス
主な用途
- 稼働中のプロセスガスクロマトグラフにおける保守目的の常時監視
- プロセスガスクロマトグラフの保全計画立案
OpreX とは
OpreXとは、制御事業の包括的ブランドです。お客様との価値共創を通じて培ってきたYOKOGAWAのテクノロジーとソリューションの卓越性を表し、YOKOGAWAの全ての制御関連製品、サービスとソリューションを包含しています。OpreX Transformation 、OpreX Control 、OpreX Measurement 、OpreX Execution 、OpreX Lifecycle の5つのカテゴリーから成り立ち、プロセスガスクロマトグラフ「GC8000」は、OpreX Measurement を構成する製品・ソリューション群の一つであるOpreX Analyzersに属します。OpreX Measurementは、高精度な測定、データ収集、分析を可能にする現場機器やシステムを意味します。
以上
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本件に関するお問い合わせ
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横河電機株式会社 横河プロダクト本部営業センターアナライザー営業統括部 - 本プレスリリースに関するお問い合わせ先
横河電機株式会社 コミュニケーション統括センター広報課
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GC8000用ガスクロマトグラフAIメンテナンスサポート(GCAI)
ガスクロマトグラフAIメンテナンスサポート(GCAI)は、機械学習モデルを活用したプロセスガスクロマトグラフGC8000のデータ監視ソフトウェアです。GC8000測定データの「いつもと違う」をリアルタイムに検知することで、保守工数の削減や、予防的な保守の実現をサポートします。
3か月の無償試用から購入を決められます。またGC80001台から使用できますので、スモールスタートでご利用いただけます。