2023年9月1日発表
横河ソリューションサービス株式会社
ファイトケミカルプロダクツ株式会社
横河ソリューションサービス株式会社（本社：東京都武蔵野市、代表取締役社長：八橋 弘昌、以下「横河ソリューションサービス」）とファイトケミカルプロダクツ株式会社（住所：宮城県仙台市、代表取締役社長：加藤 牧子、以下「ファイトケミカルプロダクツ」）は、植物油の製造過程で発生する副産物で、これまで廃棄されてきたバイオマス資源から、機能性成分やバイオ燃料の主成分を抽出する製造技術の確立に向けた共同開発契約を締結し、協業を開始しましたのでお知らせします。
協業の背景
モノを大量に生産し、使い、あとは捨てるのみという直線型社会から、モノをできる限り捨てず、捨てられたモノはできるだけ資源として使っていく循環型社会の実現に向けて、さらなる取り組みが求められています。産業界は、歩留まりや工程の改善を通して、製造過程で発生する副産物の抑制と有効活用に努めていますが、廃棄せざるをえない副産物もあります。こめ油やパーム油、菜種油、大豆油など植物油の製造過程で発生する副産物には、抗酸化作用に優れたビタミンEなどの有用な成分が含まれていますが、それらを分離・回収するには、高温・高真空下環境にする専用装置を使い、手間をかけて処理する必要があるため、有用な成分が含まれる資源にもかかわらず、その多くが廃棄され、利用が進んでいませんでした。
この課題を解決するために、横河ソリューションサービスとファイトケミカルプロダクツは、エネルギー消費やコストを考慮し、植物油を製造する際に副産物を廃棄している工場でも導入しやすい製造技術の確立に向けて、共同開発契約を締結しました。
協業の内容
ファイトケミカルプロダクツは、水処理の分離剤として利用されてきたイオン交換作用を持つ合成樹脂を用いて、植物油から有用な成分を抽出する独自の技術をもつスタートアップ企業です。イオン交換樹脂法は、植物油の副産物を原料とした有用成分の抽出にあたり、イオン交換プロセスだけで成分の抽出が可能であることに加え、既存の技術と比較して高温・高真空下環境を必要としない省エネルギーな手法です。ビタミンEなど熱に弱い成分も安定して抽出できるため高収率な抽出を可能にするのみならず、既存の手法で用いられてきた劇物を必要としないため安全性にも優れているという特長があります。
横河ソリューションサービスは、計測・制御・情報を軸にさまざまな分野の工場向けに、生産制御システムや計測器、高効率で安全な操業を実現するソリューションを提供してきました。今回の協業により、両社は、ファイトケミカルプロダクツが所有するイオン交換樹脂法を用いたベンチプラントで実証実験を行います。横河ソリューションサービスは、ファイトケミカルプロダクツがもつ、分離・回収工程における計測データに関する知見を参考にしながら、生成物のリアルタイムの成分分析・推定、計測手段の検討を行い、YOKOGAWAグループが有するモデリング技術も応用しながら、未利用油の分離・回収工程の自動化とプロセスの最適化を目指します。
ファイトケミカルプロダクツが所有するベンチプラント（宮城県仙台市）
拡大
2024年6月までにベンチプラントでの技術検討・実証を終え、パイロットプラントでの技術実装を経て、2026年度には商用プラント向けにイオン交換樹脂法のプロセスライセンスおよび計測技術、モデリング技術をお客様に提供していく予定です。
横河ソリューションサービスとファイトケミカルプロダクツは、協業を通じてバイオマス資源の無駄をなくし、地球の限界点（プラネタリーバウンダリー）の範囲内で暮らせる循環型社会の実現を目指します。
横河ソリューションサービス株式会社
2013年4月に、YOKOGAWAの制御事業の国内営業・エンジニアリング・保守・サービス機能を統合して発足。従業員数は2,572人。売上高は1,057億円（2022年度実績）。幅広い産業のお客様に対し、制御・計測機器等の販売、保守サービス、電気計装工事、トータルソリューション展開及びエンジニアリング事業を展開。
https://www.yokogawa.co.jp/about/yjp/
ファイトケミカルプロダクツ株式会社
2018年6月設立。東北大学大学院工学研究科北川研究室発のスタートアップ。イオン交換樹脂法を用いて植物由来の機能性食品・化粧品・医薬品原料や各種脂肪酸エステルの製造・販売、受託研究、研究装置・実証設備の設計も行っている。
https://phytochem-products.co.jp/
以上
本文中で使用されている会社名、団体名、商品名、サービス名およびロゴ等は、横河ソリューションサービス株式会社、ファイトケミカルプロダクツ株式会社、各社および各団体の登録商標または商標です。
本件に関するお問い合わせ
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横河電機株式会社 コミュニケーション統括センター 広報課