2024年3月21日発表
横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:奈良 寿)は、OpreX™ Asset Management and Integrityのラインアップとして、「OpreX Robot Management Core(ロボット管理コア)」ソフトウェアを開発し、2024年3月22日から販売を開始しますのでお知らせします。
「OpreX Robot Management Core」は、当社が提供するロボット運用ソリューションの中核製品です。異なる種類のロボットを統合管理し、従来は人が行っていたプラントの保守作業をロボットに行わせることで、お客様のプラント保守の安全性向上と効率化に寄与します。また、当社のプラント制御・安全システムと連携することにより、ロボットが現場から取得したデータの活用や、操業手順としてロボットへの指示が可能となり、プラント操業の自律化に向けた第一歩を踏み出します。
開発の背景
石油・ガス、化学業界などの製造現場においては、高所や閉所などの危険なエリアや、過酷な環境下での設備巡視作業など、リスクの高い場所での定常業務があります。また、現場で作業に従事する人材の不足も課題となっています。そのため、プラントを自走し、人の代わりにデータ収集したり、人の限界を超える作業を行ったりできるロボットへのニーズが高まっています。
一方、人間による作業を想定して設計されたプラントでは、さまざまな用途に対応できる複数の種類のロボットを効率的に管理・運用できる必要があります。これに対して、当社は2019年から各ロボットメーカーと協議し始め、2020年にロボット管理プラットフォームのプロトタイプを開発した後、複数のお客様と実証実験を実施してきました。そこから得た経験を生かし、今回、プラントへのロボット導入を支援するソフトウェアを開発しました。
製品の特長
OpreX Robot Management Coreは、プラントの保守におけるロボットの活用を推進し、現場作業の安全性向上や効率化に貢献するソフトウェアです。お客様の要望に合わせて、オンプレミス環境またはクラウド環境のシステム構成が可能です。
- 異なるロボットの統合管理
複数かつ異種ロボットの登録、管理や運用を統一された環境で行うことができます。Boston Dynamics社(ボストンダイナミクス)の四脚ロボット「Spot」と、三菱重工業株式会社のプラント自動巡回点検防爆ロボット「EX ROVR」に対応しています。各ロボットの状態が確認できる管理画面をウェブブラウザ上で表示できるため、リモートオペレーションが可能です。
あらかじめ登録したロボットのミッションの手動実行およびスケジュール実行により、ロボットによるプラントの巡回点検が可能となります。巡回点検中にロボットが収集した画像、動画、音声などのデータがデータベースに保存され、他のアプリケーションで活用できます。また、新製品である「OpreX Plant Image Analyzer(プラント画像アナライザ)」を利用すれば、撮影した現場計器のアナログメータやレベル計の画像をAI技術で分析することによって、自動的にプロセス値データとして記録できるため、人が目視で確認し、データを記録する従来の手法を効率化できます。 - 他のシステムとの連携
当製品はYOKOGAWAが提供する「OpreX Collaborative Information Server(統合情報サーバ)」と連携できるように開発されています。これにより、ロボットが収集したデータを制御システム、安全計装システムや統合機器管理ソフトウェアのデータと合わせて一元管理できます。保守だけでなく操業においてもアプリケーション構築、データ解析などが容易に行えるようになります。
また、OpreX Collaborative Information Server上にロボット活用向けのインタフェースを構築すれば、検知したアラームを契機に、ロボットを現場に出動させ、現場の安全確認を行うことができます。
「OpreX Robot Management Core」の開発によって、現場の安全に貢献するYOKOGAWAのロボット運用ソリューションの提供を本格的に開始します。YOKOGAWAは、お客様の課題を解決するために、コンサルティングをはじめ、戦略パートナーの製品を含めさまざまなハードウェアとソフトウェアから選択・調達し、必要なエンジニアリング、運用支援、およびサービスまで提供し、特定のロボットやドローンのアプリケーションを開発することもできます。このように、ワンストップソリューションの提供を通じて、ロボット運用の信頼性、可用性、持続性を確保し、操業の自律化の実現を目指します。
今後、対応するロボットの拡大やドローンのサポートを予定しています。また、AI技術を活用したアプリケーション開発や、制御システムの作業手順と連動したロボットへの指示などの機能強化も行っていきます。
主な市場
石油、ガス・LNG、化学
用途
- プラントの巡回点検(フィールドパトロール)
- 異常発生の初動対応(ファーストレスポンダー)
- インフラ点検
OpreXとは
OpreXとは、制御事業の包括的ブランドです。お客様との価値共創を通じて培ってきたYOKOGAWAのテクノロジーとソリューションの卓越性を表し、YOKOGAWAの全ての制御関連製品、サービスとソリューションを包含しています。OpreX Transformation、OpreX Control、OpreX Measurement、OpreX Execution、OpreX Lifecycle の5つのカテゴリーから成り立ち、新製品の「OpreX Robot Management Core」は、OpreX Transformationを構成する製品・ソリューション群の一つであるOpreX Asset Management and Integrityに属します。OpreX Transformationは、企業全体を俯瞰し、生産・サプライチェーンから経営を含む、卓越したオペレーションを実現する中核となる包括的ソリューションを意味します。
以上
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横河電機株式会社 デジタルソリューション本部 ソリューションCoEセンター スマートマニファクチャリング部 ロボットティクス&ドローンCoE課 - 本プレスリリースに関するお問い合わせ先
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ロボット管理コア (OpreX Robot Management Core)
異なる種類のロボットを統合管理し、従来は人が行っていた保守作業をロボットに行わせることで、お客様のプラント保守の安全性向上と効率化に寄与します。当社のプラント制御・安全システムと連携し、操業の手順としてロボットに指示を出したり、ロボットが現場から取得したデータを活用できるよう、プラント操業の自律化(Autonomous Operations)への第一歩を実現可能にします。