マーケティング本部イノベーションセンターに所属する高畑は、現在、新規事業開発に従事している。未来共創イニシアチブには、前身のProject Lotusの発足時から関わってきた。
当活動への参加を打診するメールを受けた時、「宛先を間違えて届いたのかな?」と疑った。間違いではないとわかっても、「面白そうだけど、自分が役に立つのか?」と困惑した。しかし、プロジェクトリーダーの玉木に会って、「面白いと思うならセンスがある」という言葉が嬉しく、参加を決めた。
※本記事ではYOKOGAWAの代表ではなく、個人の見解として語っていただきました
※所属や役職は記事制作時(2024年12月)のものです
自分の考えを語ることで見えた、多様性の価値
高畑のキャリアを見ると、経済面をはじめ多くの苦労を乗り越え、自身で人生を切り開いた結果、YOKOGAWAにつながったことがわかる。
高等専門学校で、工業デザインを学び、一度社会人デビューしている。 しかし、大病を患った母の看護に専念するため、退職した。看護の間は、給付金を得ながら職業訓練校に通い、25歳で大学に入学、情報工学を学んだ。大学進学に関して、年齢的にもキャリア的にも無謀だと周囲から大反対された。しかし、大学で情報工学を学んだ経験が、高畑の人生を大きく変えた。大学の恩師から、「アカデミックな要素を感じられる良い会社」としてYOKOGAWAを推薦され、29歳で入社した。
高畑は入社以来YOKOGAWAで、自分の抱いた疑問や意見をそのまま口に出すことにためらいを感じていたという。配属された製品開発部は、得意とする情報工学の知識を活かせる環境であった。しかしながら、心のどこかで「自分の居場所はここなのだろうか」という違和感を覚えながら過ごしていた。それでも、多様な職種・背景を持つメンバーと未来シナリオについて議論を重ね、自身の考えを臆することなく発信し続けた。そして、この経験を積んだ事によって、次第に他の「シナリオアンバサダー」の個性や視点を理解することができるようになっていった。
高畑は言う。「多様性がもたらす力を実感しました。職種や役職だけではなく、自分が歩んできた道のりや考えを率直に語ることが求められている。それこそが、私が提供できる価値だと気づいたんです」。
真の対話とは
ある時、高畑は、メンバー間での議論で、話が嚙み合わないことに焦りを感じた。しかし、はたと気がついた。 「自分は多様性を大事にしていて、コミュニケーションも得意だと思っていました。でも、そうじゃなかった。実は、自分と話が合う人とだけ話していたんです」 これが、真の対話について、考えるきっかけとなった。
「真の対話とは、良い調子で、丸く話をまとめる事ではないんです。むしろ、対立しても、意見をねじ伏せたりしないで、相手の真意を理解するためにも、とことん語りあう。それによって、お互いが持っている思考構造がわかり、さらに、相手との信頼関係も築けるのです」
「自分らしさ」が企業で求められている
未来共創イニシアチブでは、「心理的安全性」が保たれている。独自の意見や考えに対しては、わかったふりをせず、相手の理論がわからなければとことん突きつめ、矛盾を指摘し、埋める作業を皆で行う。
「この活動は、長期的な視点で価値創造を目指していて、遠い未来から社内と社外の両方を関与させるというユニークなプログラムだと思います。それは、通常のシナリオプランニングは戦略策定を目的とするのに対し、未来共創イニシアチブにおいては、人財育成を目的にしているからです」
多数決ではなく、違う意見を大事にし、「なぜ?」という問いをたて、その背景を探る。この作業を繰り返すことで、多様な視点が身に付く。
高畑は言う。「このような対話の経験を重ねると、本業でも、 自分の考えを発言しやすくなります。実は、私自身が、自分の職場では、自分らしくあることは価値がないと思い込んでいました。でも、そうではない。やり方が間違っていただけなのです」。
自分と向き合い、仕事の楽しさを見出せた
高畑は、1社目の職場、そして2社目のYOKOGAWAにおいても、希望する仕事に就けた。しかし、やりたいことをやっているのに、満たされないものがあったという。そして、この活動を経て、気づいたことがある。
大切なのは、楽しめる仕事を探す、という事ではない。仕事を通じて、自分と向き合い、能力を見出し、自分らしさを仕事に活かすことができた時に、「仕事が楽しくなる」。
自分の事は、意外と知っているようで知らない。さまざまな経験を通して、自分が楽しい事、傷ついた事などに蓋をしないで、自分の感情を知り、なぜそう感じたのかを考えてみる。
このように、自分の感情、機微と向き合って、自分らしさを大事にすることを、高畑は“自分軸”と呼び、大切にしている。 周りからの評価や考え方に流されず、自分の意志を大切に行動することだ。
「自分のポテンシャルやスキルを最大限に発揮できるのは、『楽しい』と感じている時じゃないかと思います。皆が 楽しんで仕事に取り組むことで、会社全体が大きな力を発揮できると信じています。楽しんでいると、自然と周りに目を向ける余裕が生まれ、自分が周囲の支えの中で活かされていると気づくことができます。その気づきが、社会を自分事として捉える意識を育むのだと思います。だからこそ、自分軸を持つことが、持続可能な社会の実現に向けた第一歩であると考えています」
ChatGPTをはじめとする生成AIが台頭している現代。 しかし、AIやロボットが人間を超えることができない分野があるという。その一つが、未知の分野に対する「探索力」、「知覚力」、「共感力」である。高畑は、未来共創イニシアチブの活動で、自身が既に持っていた「知覚力」をフルに活かし、本質を捉え、貢献している。
自分軸を大切にするこの活動が、社員の幸せ、周囲との関係性、そして本業に良い影響を与えている。
左から:野田 基公、 大内 伸子、 玉木 伸之、 大崎 昇吾、 高畑 智夏、(YOKOGAWA)
![高畑智夏氏](http://web-material3.yokogawa.com/19/36647/details/Ctakahata.jpg)
高畑 智夏
未来共創イニシアチブ シナリオアンバサダー
専門分野:新規事業開発
趣味:料理、工作
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インタビュー
「未来共創イニシアチブ」に関わる社内外の関係者が、対話を通じ、多様な視点で語る活動の価値や意義
活動概要
シナリオプランニングを活用した次世代リーダー育成と、境界を超えた共創ネットワーク構築を目的とした活動の紹介
活動への想い
「正解のない時代」に生まれた、活動発足の背景や志
未来シナリオ
未来を担う若手社員たちが、シナリオプランニングと共創的な対話で描いた「未来シナリオ」
シナリオアンバサダー
YOKOGAWAの各部門から選ばれたミレニアル世代中心のシナリオアンバサダー紹介と成長や学び
未来共創ネットワーク
YOKOGAWAグループ内外のサポーターやパートナー、個社と緩く繋がり、産官学連携で築くネットワーク
Sponsor Article
米国発テックカルチャー・メディア『WIRED』に掲載された、「未来共創イニシアチブ」の英文記事
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