横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

VPP 電力制御でエネルギーの安定供給と再エネ導入促進に貢献

近年、再生可能エネルギーの導入が加速するとともに、企業や一般家庭などのさまざまな場所で、蓄電池や発電設備などのエネルギーリソースが点在するようになってきました。日本では、政府や電力関連機関が、分散型エネルギーリソースの活用と電力の安定供給の両方を実現する新たな電力ネットワーク構築に向けて施策を進めています。
このうちの1つが、経済産業省が実施する「バーチャルパワープラント構築実証事業」です。YOKOGAWAはこの事業に参画、2016年度から5年にわたり関西電力株式会社(以降 関電)、滋賀県企業庁浄水場(以降 滋賀県企業庁)というステークホルダーの方々とともに、実証実験を行い、成功に貢献しました。

滋賀企業庁の浄水場

 

バーチャルパワープラントとは

バーチャルパワープラント(VPP)とは、分散するエネルギーリソース(工場の動力設備や自家発電設備、太陽光発電、蓄電池、EVなど)を、高度なエネルギーマネジメント技術により遠隔・統合制御し、あたかも一つの発電所のように機能させることで、電力の需給調整に活用するものです。VPP において欠かせない手法が、需要家側で電力消費量を制御して電力需要を調整するデマンドレスポンス(DR)です。
VPPは、低コストで電力の需給が最適化でき、CO2の排出量削減にもつながります。電気を使う側が自らの意思で未来に向けた社会貢献を実現できる取り組みとして、VPP、DR は社会的な関心、注目度が高まっています。
各エネルギーリソースは、それで完結している1つのシステムです。しかし、これを多数組み合わせることで、さまざまな、かつ大きな付加価値を生み出すVPPは、System of Sysmtes (SoS) の好例ということができるでしょう。

 

「つなぐ力」で新しい仕組み作り

安定した電力の需給バランスの保持を目的として国が進めたソリューションの1つが「バーチャルパワープラント(VPP)構築実証事業」です。
2016 年度、YOKOGAWAは、関電と連携し、滋賀県企業庁に協力を依頼、VPP 構築実証事業に参画しました。この実証実験で、YOKOGAWAは、社会インフラおよび滋賀県企業庁が保有する分散された電力リソースを遠隔制御・統合管理する役割を担いました。
滋賀県企業庁は、琵琶湖から取水し、4カ所の浄水場(VPP事業に参画するのは3カ所)で浄化した水を、上水道・工業用水道に供給しています。水源である琵琶湖は水量に恵まれているものの、給水地域より標高が低いため、導水、送配水網で多くのポンプ動力が必要になり、環境負荷低減とエネルギーコスト削減に向けて効率的なエネルギー利用を目指していました。

滋賀企業庁の取り組み

また、この取り組みを進める中、関西地域の他の水道局にも関心を持っていただき、こちらでも実証実験を開始しました。
YOKOGAWAは、関電や各自治体と協力し合いながら、複数の送配水ポンプを統合管理し、各ポンプの稼働状況や電力消費量の変化を算出し表示させる仕組みを構築。さらに、統合制御した場合のネガワット(需要側の節電により創出した電力量)総量を算出し、創出可能な電力リソース容量を把握するシステムを構築し、DR 活用に向けた技術を確立しました。

 

「つなぐ力」で困難を突破する

これらの実証事業において、YOKOGAWAは、さまざまな困難に直面しましたが、議論と相互理解を深めることで、それを乗り越えました。例えば、

  1. エネルギーリソース活用のための情報の理解:関西電力と、制度面、システム面の両方で双方向のコミュニケーションを進めることで、相互理解を深めました。

  2. 新しい組み合わせのシステム構築:通信インフラ企業、関西電力、自治体と議論を重ね、通信スペック、制約条件、実証仕様を俯瞰的に把握することにより、技術を確立しました。

  3. 自治体が第一とする水の安定供給に影響を与えないための仕組み作り:水の安定供給に直結する配水池の水位やポンプの稼働状況といったプロセスに関する情報を、制御システムに併設されたサーバーから取り込み、ルーチンワーク外の作業をできる限り少ない負担で対応していただく運用を立案しました。

 

 
つなぐ力

このように、YOKOGAWAは、ステークホルダーの方々と丁寧に意見を交わしあうことにより、相互理解を深め、強固な関係を築き上げます。さらには、YOKOGAWAのさまざまなシステムに関する知識や高い技術力を活かし、新たな取組みを実現します。

 

今後の取り組み

今、日本の電力市場では、発電、小売りのプレーヤが多様化しています。電源にも再エネ、小規模電源、コジェネレーションなどの分散型電源が加わり、大規模な電源と共存するようになりつつあります。
また、2020年に将来の供給力(kw)を取引する「容量市場」という市場が設立され、「4年後の電力供給力」が取引されるようになりました。2024年度からはこれに基づく需要家側のエネルギーリソースを含めた実際の取引(需給調整)が始まっています。

YOKOGAWAは、IoTを活用したデータ取得、解析および実装に関して培ってきた産業界における経験を、新しい電力市場や地域の社会インフラ領域に活かしながら、お客様から信頼されるパートナーとして、SoSの実現を通じて持続可能な社会の実現に貢献します。

今後の取り組み

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