横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

電池電極WEB厚さ計 ES-5

電池製造現場における品質と生産性を向上させる厚さ計

電池電極 WEB 厚さ計 ES-5 は、リチウムイオン電池などの二次電池の電極製造において、厚さの品質監視・制御を行うシステムです。

2010 年より電池製造現場を支え続けた WEBFREX3ES の後継機種であり、従来の製品の特長を継承・進化させつつ、CO2 排出量の削減と生産性向上に貢献するという新たな価値を盛り込みました。

世界各国がカーボンニュートラルを目指しモビリティの電動化を進める中、二次電池が非常に注目されています。電池生産で生じる CO2 排出量の削減、急増する電池需要に伴う生産性の向上といった新たな課題を、ハードウェア・ソフトウェアを一新した ES-5 が解決します。

ES-5の新たな価値、継承と進化

これまでの常識を一新するボックス型構造フレーム

測定フレームに、従来製品とは全く異なるボックス型構造を採用しました。これにより消費エア量は従来比 1/10 以下、総消費電力は 1/2 以下に削減しました。厚さ計稼働に伴うエネルギー消費を抑えることで、CO2 排出量削減へ貢献します。フレームのサイズも従来製品よりコンパクトになり、本体重量は従来比の約 1/4 を実現しました。より狭い場所への設置が可能となるだけでなく、厚さ計の導入から廃棄までのライフサイクルでの環境負荷も低減しています。また、センサ駆動部を防護カバーで覆うことで、お客様の保守作業時の安全性と放射線への対策を向上させています。

 

統合情報サーバをプラットフォームとした新型システムの採用

工場内の設備やシステムからデータを集約し、最適な情報の一元管理を支援する「統合情報サーバ (CIサーバ)」をシステムのプラットフォームに採用しました。電極の塗工厚さは、電池のエネルギー密度などの重要な品質を決定づける指標である一方、周辺プロセスの影響により変動します。安定した塗工厚さを実現するには、周辺プロセスと連携し、全体での最適化を図ることが求められます。新たなプラットフォームは、高いデータ連携の自由度とシステム拡張性によりこれを実現し、品質や生産性の向上に貢献します。

* 統合情報サーバ (CIサーバ) の詳細はこちら

 

従来の特長の継承と進化

従来製品で好評であった特長は継承および進化させています。正確な測定の基本となる測定性能面では、スキャン速度・測定分解能をさらに向上し、高速・高密度測定を実現しています。また、金属粉混入などの電池の発火事故に繋がるリスクを排除した安全設計を踏襲しています。ソフトウェア面では、データ自動保存機能によるトレーサビリティのご提供のほか、自動塗工制御により品質向上やロス削減に貢献します。

 

ES-5の主な適用先アプリケーション

  • リチウムイオン電池
  • 次世代電池
  • 積層セラミックコンデンサ(MLCC)

など

 

関連製品

  • 旧製品 WEBFREX3ES

WEBFREX3ES
> 電池電極専用オンライン厚さ計 WEBFREX3ES の詳細はこちら

 

  • セパレータや汎用フィルム向け厚さ計

セパレータや汎用フィルム向け厚さ計
> セパレータや汎用フィルムなど、測定幅の長いシート・フィルム向け厚さ計にはこちら

 

  • 厚さ計以外の電池製造向けソリューション

電池製造向けソリューション
> その他厚さ計以外の電池製造向けソリューションはこちら

 


About OpreX

OpreXは、YOKOGAWAのテクノロジーとソリューションの卓越性を集約した、制御事業の包括ブランドで、カテゴリーとその配下のファミリーから構成されています。本製品はOpreX Control配下のOpreX Quality Control Systemに属します。

詳細

歴史と実績

横河厚さ計の歴史

横河の電池向け厚さ計は、紙やフィルムの製造工程で60年以上培ったオンラインでのシートの品質管理と計測技術をベースに開発され、2010年に販売を開始しました。
以来、リチウムイオン電池の生産が日本から世界に広がるまで生産現場を支え、現在は世界のトップ10社の半数以上に納入しております。また、二次電池以外にも、積層セラミックコンデンサ(MLCC)の製造現場でも広く採用され、品質・コストの改善に貢献しています。
長い年月の中で積み重ねてきた現場の操業監視・改善ノウハウこそが、YOKOGAWAの厚さ計の強みであり、今日の電池電極WEB厚さ計ES-5にも活かされています。

環境負荷低減

環境負荷低減

測定フレームやセンサの設計を大幅に見直したことで、消費電力・消費エアーを大幅に削減しました。これにより、CO2排出量の削減に貢献します。
また、本体重量も軽量化されており、メンテナンスや設置が簡単になりました。

 

設置自由度拡大

設置自由度拡大

本体サイズも従来機種に比べコンパクトになりました。これにより、お客様の製造ラインのコンパクト化に対応します。
フレーム制御用の回路等を格納するコントロールボックスは本体から分離可能となっており、自由に設置可能です。
他にも通路側からセンサのクリーニングを行えるなど、お客様のオペレーション・メンテナンスの手間を軽減します。

塗工部分も塗工端も正確に測定

塗工部分も塗工端も正確に測定

センサを改良し照射コリメータ径を小型化することで、塗工端部分の実際の形状をより正確に捉えられるようになりました。今までより広い範囲を品質管理対象とすることができます。
また、放射線源由来のノイズを除去するフィルタリング機能を搭載しています。これにより塗工部分においてもより実際の形状を捉えられるとともに、ノイズ安定化までの待ち時間が短縮され、待ち時間に流れてしまう分の材料や電力のロスを削減できます。
さらに、従来の温度補正に加え気圧補正機能を搭載したことで、長時間連続測定する際の安定性が向上しました。これにより、製造ラインの安定稼働に貢献します。

温度・気圧補正の効果
温度・気圧補正の効果

 

スキャン速度向上と高い測定精度を両立

低速スキャン、高速スキャン

センサヘッドを軽量化し、ヘッド指示距離を短くしたことで、走行時の振動を軽減しました。これにより高い測定精度と1500mm/3秒の高速測定を両立しています。測定でカバーできるエリアが広がり、より細かく品質不良を察知します。

 

厚く、重いシートを測定可能

測定レンジを最大2,000g/m2に拡大しました。幅広い材料・厚さを測定可能で、次世代の電池開発・製造を支援します。

安全対策

  • コンタミネーション対策
    従来製品と同様に、銅をはじめとする金属粉の落下など、二次電池の発火の原因となりうるリスクを排除した安全設計を採用しています。
  • 放射線対策強化
    駆動部を防護カバーで覆うとともに搭載するセンサの構造を見直したことで、操業やメンテナンス時の接触のリスクを減らしつつ、漏洩線量の低減により安全性を高めています。

全体最適化への試み

統合情報サーバ

新たなシステムプラットフォームとして統合情報サーバを採用しました。プラント内の設備やシステムからデータを収集し、最適な情報の一元管理を支援します。
電極の塗工厚さは、二次電池の性能や品質を決定づける極めて重要な指標の1つであり、安定した塗工厚さの実現には多くの周辺プロセスが関わっています。このプラットフォームは、こうした周辺プロセスと連携することで生産効率を高め、塗工プロセスの個別最適から生産ラインにおける全体最適への変革を実現します。

ご要望に応じたインターフェース

  • プロファイル、トレンド、デジタル表示
    通常の監視などに適します

プロファイル、トレンド、デジタル表示

 

  • 2Dマップ表示
    全体のトレンド変化を視覚的に捉えられます

2Dマップ表示

 

  • 3Dマップ表示
    過去のトラブル分析や品質改善活動に適します

3Dマップ表示

 

プラットフォームは、高いデザイン自由度をもつインターフェースを備えており、お客様のご要望に応じた測定監視環境を実現します。
2Dや3D画面での表示も可能で、品質変化のトレンドを視覚的に分かりやすく捉えられます。
測定データはリアルタイムで自動保存されます。シート巻長を基準に各プロファイルを保存するので、製品ロットに対応した品質管理が可能です。

自動塗工制御

ライン立ち上げ時の収束時間短縮   主導よりもばらつきを抑制   

横河独自の自動塗工制御(要相談・オプション)により、良品までの収束時間の短縮や歩留まり改善が期待でき、生産効率向上が見込めます。

システム構成

システム構成

同意測定、差分演算

電池電極WEB厚さ計ES-5では、最大5か所(#1~#5)で測定が可能です。各フレームで測定した測定値を差分演算を用いて、塗工前の箔単体、塗工直後の表/裏、および乾燥後の表/裏の各塗工量を導きます。
乾燥炉(Dryer)は一般的に数十メートルと長いため、ES-5を導入することで乾燥終了まで待たずに塗工直後(#2および#4)の工程で測定でき、歩留まり向上に貢献します。
フレーム本体には専用のセンサが搭載され、そのセンサがシートの上を端から端まで走査(スキャン)し測定します。

測定センサ

β線またはX線*を用いた透過式のセンサです。
いずれも非接触センサで測定対象を傷つけることなく高精度に連続測定が可能です。
放射線源またはX線管から照射された放射線が測定対象である電極シートを透過するとき、シートの重量に応じて減衰するという原理を応用し、単位面積当たりの重量(坪量)を測定します。
坪量を測定するので、厚さ(μm)を測定するレーザー式などと異なり、厚さだけでなく密度がばらついている場合も検出できます。

*X線センサは今後発売予定です

測定範囲

β線式センサ(放射線源:85Kr)

 測定レンジ:0~1,200g/m2, 850~2,000g/m2より選択

対応規格

ボックス形フレームおよびβ線式センサは仕向地に応じて、以下の規格に適合させることができます。

仕向地 カテゴリ 規格
中国 安全規格 中国国家基準
GB30439.1
欧州 EMC規格 [CE Marking] EMC指令
EN 55011
EN61000-6-2
EN61000-3-2
EN61000-3-3
安全規格
(Safety Standard)
[CE Marking] 機械指令
EN ISO 12100
EN 60204-1
EN ISO 13849-1
RoHS EN IEC 63000
米国 安全規格 NFPA79

関連情報

ドキュメント&ダウンロード

動画

概要:

電池電極 WEB 厚さ計 ES-5 は、リチウムイオン電池などの二次電池の電極製造において、厚さの品質監視・制御を行うシステムです。

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