データ分析で設備故障の原因や予兆を見逃さない
プラントAI解析ツールは、現場の困りごとをデータを活用して解決するためのソフトウェアです。設備データの解析からAIモデルの監視導入までの一連のハードルを下げ、効果検証サイクルを素早く回すことができます。高度なAI知識が必要な作業はツール内で自動化されているため、お客様はご自身の業務課題にどのようにAIを適用するか、という部分に注力していただけます。
概要
お客様のプラント・製造現場には、突然不具合が発生する等の課題を抱えている設備やシステムはございませんでしょうか? 課題の存在する設備・システムに関係する時系列データを本製品(SZ1000)に取り込むことで、大量のデータから設備の不具合要因を分析したり、設備が異常な状態のデータの特徴を学習したAIモデルを作成することができます。作成したAIモデルはすぐにダウンロードでき、お客様がプラントの監視・制御の際に日々ご覧になっているモニタリング画面に、リアルタイムにAIモデルの指示値を表示させることができます(SZ2000)。データを活用して設備の課題を分析し、得られた成果をシステム化するプロセスを本製品を利用して素早く実行していただけます。
「プラントAI解析ツール」は、データ分析用Webアプリケーション「SZ1000」、お客様のローカル環境で動作する「判定器アプリケーション」、そしてAIモデル用のライセンス「SZ2000」の3つで構成されます。
SZ1000で作成されたAIモデルをお客様の環境に導入するには、判定器アプリケーションとSZ2000が必要となります。
プラントAI解析ツール SZ1000
- ブラウザを使用してAI解析を行うクラウド上のアプリケーション
- AIの知識なしで使用可能(AIアルゴリズムごとに存在するパラメータ調整不要)
- “異常検知 / 原因推定”、“品質推定(ロットデータ)”、“数値予測”、“違和感検知(正常データのみ)” の 4種類の問題に対応
- プロセスデータやバッチ処理のデータをアップロードして、ラベリング(正常、異常の区間の指定)して学習
- 実践に即したハンズオントレーニング(ビデオ)を提供
プラントAI解析 モデル用判定器ライセンス SZ2000
- 判定器アプリケーションでAIモデルが動作するために必要なライセンス
プラントAI解析用 判定器アプリケーション
- SZ1000で解析して得られたAIモデルをダウンロードして、お客様自身のデータ監視環境で利用可能
- お客様が利用されている様々なデータソースからリアルタイムに設備データを取得しAIモデルに入力
- 計算されたAIモデルの出力をお客様のデータ監視環境に渡す
- 90 日間はライセンスなしで動作可能
”AI”だから解決できるさまざまな課題
About OpreX
OpreXは、YOKOGAWAのテクノロジーとソリューションの卓越性を集約した、制御事業の包括ブランドで、カテゴリーとその配下のファミリーから構成されています。本製品はOpreX Lifecycle配下のOpreX Operation and Maintenance Improvementに属します。
プラントAI解析ツール(SZ1000)の特徴
操作が簡単
データのアップロードからAIモデルの作成まで、すべてマウスによる簡単な操作で完了します。プログラミングやパラメータ修正など、複雑な操作は必要ありません。
AIの知識がなくてもOK
あらかじめ当社で実績のある解析手法がプリセットされているため、データの前処理やアルゴリズム選定といったAI解析の専門知識がなくても、高性能なAIモデルを作成できます。

学習開始までの手間が少ない
学習や推論、グラフ化といった計算はすべてクラウド上の高性能コンピュータで行うため、お客様でデータ分析用の PC 環境を用意しなくても、購入後すぐに AI 解析作業をスタートできます。
クラウド上で利用可能
ブラウザを使用するクラウド上のアプリケーションなので、ご利用期間中はインターネット接続環境があればどこからでもアクセスが可能です。

運転監視を可能にするプラントAI解析ツール(SZ2000)の特徴
データ分析の成果を日々の操業に活かす
SZ1000で作成したAIモデルを、GA10 や PI System などの、お客様が普段お使いのさまざまなプラントデータ可視化ソフトに組み込むことで、常に最新のデータのAIモデル計算結果を見ながら操業の指針としてご活用いただけます。
事例紹介
異常検知 / 原因推定
業種 | 対象 | 概要 |
---|---|---|
化学 |
ポンプ |
化学プラント内のポンプでシャフトの折損事故が発生。再発防止を目的として要因分析を実施し、生産プロセスデータを解析したところ、折損12時間前からデータの特徴変化を検知できることが判明した。そこで、故障と高い関連性を持つタグを全数十個の中から抽出し、DCS(分散制御システム)上での監視体制を構築。これにより、未然防止が可能となった。現在は、ほかの設備への応用も視野に入れた改善策も推進中。 |
空調 |
冷凍機 |
建屋の空調が冷凍機の故障で停止する問題が発生した。初回故障時の冷却水温度などのプロセスデータを分析・学習したところ、2度目の故障では数時間前から異常の予兆が現れていることを確認。この傾向を指標として異常を検知する仕組みを確立し、空調のメンテナンス計画や運転負荷の調整に活用することで、故障未然防止と効率的な設備運用を実現した。 |
電力 |
コンプレッサー |
コンプレッサーの故障予兆を圧力、温度等のプロセスデータから特定したいという課題に取り組み、正常データが大多数という条件下で故障発生タイミングとその要因を特定することに成功。また、故障発生の数十時間前に異常が鋭く遷移するポイントを特定し、これをもとにメンテナンス計画や運転負荷調整に活用。故障リスクを低減し、運用効率を向上させることに成功した。 |
品質推定
業種 | 対象 | 概要 |
---|---|---|
電池 |
バッテリー製造装置 |
バッテリーの検査のために膨大な時間と場所の確保が必要となっていることから、これを削減する方法を検討。検査工程の初期の計測データから、検査が不要な明らかなる正常品と、不良品を抽出するモデルを作成。これにより、検査対象品が半減し、コスト削減にも貢献した。 |
医療 |
医療品製造ライン |
完成品の不良検査の時間を短縮する取り組みとして、製造工程中のデータから良品・不良品を分類するモデルを作成。不良品の主な発生要因を分析し、その結果をもとに製造条件の見直しを実施。その結果、不良検査にかかる時間の短縮と良品率の向上を達成。さらに、継続的な改善活動の基盤を構築した。 |
数値予測
業種 | 対象 | 概要 |
---|---|---|
石油 |
反応炉の触媒 |
触媒の劣化により反応成果物に不純物が混ざり、製品品質が低下する課題に対応するため、プロセスデータを活用して触媒の劣化状態を数値で可視化する指標を構築。この指標を基準に反応炉のメンテナンス時期を決定する運用が確立され、品質安定化と運用効率の向上に貢献した。 |
石油 |
燃料製造ライン |
燃料の品質調整において、理論値と実測値の差が原因で完成後にしか品質が分からず、調整作業が熟練者の経験に依存してしまうという課題があった。この課題の解決のため、混合以前のプロセスデータ(100タグ以上)から品質変動に寄与する要因を特定し、回帰モデルを構築。これにより、従来の理論値と比べ実測値に近い品質予測が可能となり、調整作業の容易化と脱属人化が実現した。 |
違和感検知
業種 | 対象 | 概要 |
---|---|---|
化学 |
海水ポンプ |
海水ポンプの運転状況を手動でチェックしている従来の方法では、故障に早期対応することが困難だった。Sushi Sensorの振動データをもとにした分析を導入し、これを活用して故障の予兆を自動的に検知する仕組みを構築。これにより、従来の手動での管理に比べ、大幅に手間と時間を削減するとともに、設備の安定稼働を支える体制を実現した。 |
石油 |
送風機 |
製油所設備の送風ファンが不定期に故障する課題に対し、Sushi SensorのデータをSZ1000の違和感検知で分析。故障の数週間前からデータの特徴変化を発見し、異常を早期に検知する仕組みを構築。これにより、突発的な故障による生産停止を防ぎ、設備運用の安定化を実現。さらに、この仕組みをほかの設備にも展開することで、製油所全体のメンテナンス効率化が期待されている。 |
詳細
プラントAI解析ツールの4つの機能
異常検知 / 原因推定
過去に何らかの故障が発生した設備について、故障直前の期間のデータを「異常データ」、良好な運転状態にあった期間のデータを「正常データ」と設定し、それぞれのデータの特徴を学習することで故障の予兆を数値化して表すことができます。

品質推定(ロットデータ)
製造工程で品質検査をしているものの、チェックに時間がかかるためもっと効率化したいといった場合に、工程データから製品の品質が怪しいものだけを推定し、検査の負荷を抑えることができます。また、不良品の発生に関連性の高いデータを分析することで、これまでの製造条件を見直し良品率を向上させることができます。

数値予測
設備にセンサーが取り付けられず手動計測で状態を把握していたり、理論値と実測値の差が原因で余分な製造コストが発生している場合に、設備に関連する運転データから手動計測していた値を予測したり、理論値と実測値の差をリアルタイムな周辺データを考慮して補正することができます。

違和感検知(正常データのみ)
過去に大きな故障をしたことがない設備や、まれに異音がするなど気になる変化が見られる設備について、良好な運転状態にあった期間の正常データだけを学習することで、良好な運転状態が維持されているか数値で評価したり、気になる変化がデータ上で現れていないかチェックすることができます。

その他の機能
解析サイクル高速化機能
AI解析は専門のデータサイエンティストでも多大な労力を必要とします。しかしながら、SZ1000では学習データの選択や教師ラベルの付与といった面倒な作業が簡単なマウス操作で完了するため、素早く条件を変えて何度でも解析を試すことができます。
解析ノート機能
AI解析においては過去の解析結果の見直しが非常に重要です。SZ1000ではそれぞれの解析結果にノートを紐づけて管理できるので、プロジェクトの背景や大切な考察、報告や受けとったフィードバック等の大切な情報やメモを一元管理できます。あとからご自身で見直したり社内共有にご活用いただけるだけでなく、どこかに紛失してしまう心配もありません。
実践に即したハンズオントレーニング
「異常検知 / 原因推定」、「品質推定(ロットデータ)」、「数値予測」、「違和感検知(正常データのみ)」の4種類の問題それぞれに対して、実際に近い課題やデータをご用意。ビデオを見ながらSZ1000による課題解決の流れを疑似体験することができます。
ドキュメント&ダウンロード
カタログ
- プラントAI解析SZ1000, SZ2000 (2.5 MB)
取扱説明書
- プラントAI解析 オープンソースソフトウエア利用規約 (811 KB)
- プラントAI解析ツール サービス契約書 (673 KB)
- プラントAI解析ツールユーザーズマニュアル (476 KB)
一般仕様書
- プラントAI解析SZ1000, SZ2000 (645 KB)
動画
設備に関する困りごとをAIを使って解決してみませんか?
プラントAI解析SZシリーズでどのような困りごとを解決できるのか、どのように解決するのかを説明します。
本件に関する詳細などは下記よりお問い合わせください
お問い合わせ