横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

渦流量計 VY シリーズ

蒸気流量の測定に最適な渦流量計

「渦流量計」は幅広い温度・圧力範囲の液体・気体・蒸気を測定できる、汎用性の高い流量計です。他方式の流量計に比べ、蒸気流量の測定に適した特長があります。

蒸気は多くの産業で最も一般的に使用されている高温・高圧の熱媒体です。例えば、化学プラントにおいては加熱・蒸留・濃縮、バイオ・食薬プラントでは滅菌・殺菌・洗浄、半導体工場や地域冷暖房プラントでは空調など様々な用途があります。蒸気には飽和蒸気と過熱蒸気の2種類があり、飽和蒸気は熱効率が良い流体ですが、蒸気輸送に伴う圧力損失や放熱のため飽和状態を保つことが難しく、より高温・高圧の過熱状態で供給する場合があります。渦流量計は、過熱蒸気を含めた高温・高圧の蒸気まで流量計測できることから、蒸気流量の測定に最適な蒸気流量計として多くの現場で選ばれています。

なかでも横河電機の「渦流量計VYシリーズ」は接続口径400mmまでの広い測定流量範囲と、450℃までの高温およびASMEクラス1500までの高圧の流体を測定できます。高い堅牢性と安定性に加え、リモートメンテナンス機能や自己診断機能を備え、効率的な保全活動に貢献することができ、プラントの長期的な安定稼働と生産効率向上を支えます。

 

蒸気用として渦流量計を導入するメリット

蒸気流量の測定に渦流量計を使うメリットについて、数多くの現場で使われているオリフィス式流量計(差圧式流量計)と比較しながらご紹介します。

レンジアビリティが広く、変動する蒸気流量にも対応

一般的なオリフィス式流量計はレンジアビリティが「5:1」程度で、測定範囲によっては誤差が大きくなることがあります。一方、渦流量計 VY シリーズのレンジアビリティは「80:1」と測定可能範囲が広く、一定の精度誤差に収まります。高いレンジアビリティは季節や操業負荷によって変動する蒸気流量にも対応可能です。

測定時の圧力損失が小さく、安定稼働に貢献

オリフィス式流量計はオリフィス(絞り弁)による差圧から流量を測るため、オリフィスによる圧力損失が生じます。一方、渦流量計には渦発生体による圧力損失がありますが、オリフィスに比べると小さくなります。圧力損失は蒸気品質を低下させ、エネルギー損失によるコスト高につながります。そのため、圧力損失の小さい渦流量計は、蒸気品質の維持やプラントの安定稼働に有利になります。

機械的可動部がなく、故障しにくい

オリフィス式流量計はインライン計器ではないためメンテナンスし易いですが、オリフィス(絞り弁)や導圧管、三岐弁、コンデンスポットなど構成部品が多いため点検項目も多くなります。一方、渦流量計は構造がシンプルで可動部がなく、頑丈で故障しにくいのが特長です。長く使える堅牢さ、メンテナンスコストの低さはプラント運営の大きな助けになります。

 

VYシリーズはこのような方におすすめです

  • 温度圧力補正により蒸気流量をもっと高い精度で計測して、設備稼働を効率化・安定化させたい
  • 機器の状態基準による予知保全を実現して、ダウンタイムを最小化したい
  • 機器の部分メンテナンスにより保全コストを削減したい

渦流量計 VYシリーズについて


About OpreX

OpreXは、YOKOGAWAのテクノロジーとソリューションの卓越性を集約した、制御事業の包括ブランドで、カテゴリーとその配下のファミリーから構成されています。本製品はOpreX Measurement配下のOpreX Field Instrumentsに属します。

詳細

VYシリーズの特長

デジタル技術で保全業務の効率化・省人化に貢献

多くの機器が稼動するプラントでは、機器の状態に応じた効率的かつ計画的な予知保全「状態基準保全(CBM)」が求められています。VY シリーズは、内部信号の高度なデジタル化により、渦発生体やセンサ素子を含めた機器全体の「自己診断機能(ビルトインベリフィケーション)」と測定信号の特徴から測定流体の脈動や揺動および配管振動などを検知する「プロセス診断機能」を搭載しています。また、専用ソフトウエア FSA130 電磁流量計・渦流量計ベリフィケーションツール(別売り)および機器調整・設定・管理ソフトウエアFieldMate(別売り)との組合せにより「ベリフィケーション機能」や「リモートメンテナンス機能」を提供します。現場から離れた計器室のPC画面上でこれらの機能が簡単に利用でき、機器の健全性や稼働状態の確認・管理が飛躍的に向上しました。このように、VYシリーズは保全業務の効率化・省人化を進め、プラントの効率的な運営を支えます。

* FSA130 電磁流量計・渦流量計 ベリフィケーションツール の詳細はこちら

FSA130 電磁流量計・渦流量計 ベリフィケーションツール

 

メンテナンス工数削減や流量測定安定化を実現する独自の構造と技術

VYシリーズは、これまでのYEWFLOシリーズの高い信頼性と実績ある独自の検出構造を継承しています。渦発生体は 2 つの流量センサと 1 つの温度センサ(オプション)を内蔵した独自の検出構造で、ボディから脱着できます。この構造は、堅牢性、長期安定性、短い面間長、上流側の短直管長をもたらすだけでなく、流体の堆積や付着などでメンテナンスが必要な場合に、流量計全体を配管から取り外さずに渦発生体の清掃や交換が可能です。メンテナンスに伴うダウンタイムの最小化に貢献します。また、独自のデジタル信号処理技術により配管の振動を効果的に除去することができ、安定した測定を実現します。歴代のYEWFLOシリーズと機械的・機能的な互換性があるVYシリーズは、配管の追加工事不要で同じ場所に設置することが可能です。
VYシリーズが保全業務の効率化・省人化を進め、プラントの効率的な運営を支えます。

メンテナンス工数削減や流量測定安定化を実現する独自の構造と技術

 

製品ラインアップ

VYシリーズ共通仕様

渦流量計 VY シリーズは、液体、気体、飽和蒸気、過熱蒸気の流量を測定でき、自己診断やリモートメンテナンス機能を搭載しています。接液部の材質は、二相ステンレスを含むステンレス鋼またはニッケル合金から選択頂けます。防爆、SIL2などの幅広い規格に対応しています。電流入力機能(HART7、電流入力仕様選択時)により、液体、気体、蒸気の質量流量、エネルギー流量などこれまで以上に高精度な演算機能*にも対応します。
*飽和蒸気、過熱蒸気のテーブルを内蔵

[共通仕様]

モデル VY □ □ □ (一体形、分離形検出器)、VY4A (分離形変換器)
測定流体 液体、気体、飽和蒸気、過熱蒸気 (混相流や粘着性、腐食性のある流体を除く)
通信・入出力 HART 7 通信、4 - 20 mA DC、パルス / ステータス出力、電流入力
FOUNDATION フィールドバス通信
Modbus 通信、パルス / ステータス出力
防爆 日本防爆 Ex db、IECEx 防爆 Ex db / Ex ia、ATEX 防爆 Ex db / Ex ia、FM ( US ) 防爆 Ex db / Ex ia、FMc (カナダ防爆) Ex db / Ex ia
適合規格 EMC、PED、EU RoHS、CE マーキング、NACE、機能安全 ( SIL2 )、NAMUR ( NE21 / NE107 )、船級 ( DNV、ABS )

詳細は「ドキュメント&ダウンロード」に掲載の「カタログ」「一般仕様書」一覧にてご確認ください。

一般形

一般形は、VY シリーズの基本モデルです。
接続口径サイズは15〜400mm までラインナップがあり、プロセス温度範囲は-40℃~250℃、プロセス圧力範囲は ASMEクラス900 まで対応します。

一般形

[一般形の仕様]

本体タイプ 一般形
渦発生体タイプ 一般形、ロングネック形
精度 液体 指示値の ± 0.75 %(レイノルズ数により異なります)
気体・蒸気 指示値の ± 1.0 %(流速により異なります)
プロセス温度 -40 ℃ ~ 250 ℃
最大プロセス圧力 ASME クラス 900、EN PN 100、JIS 40K、JPI クラス 600
周囲温度 -40 ( / -50 ) ℃ ~ 85 ℃
接続口径 ウエハ 15 ~ 100 mm
フランジ 15 ~ 400 mm
保護等級 IP66 / IP67

詳細な仕様は、「ドキュメント&ダウンロード」に掲載している一般仕様書にてご確認ください。

内蔵温度計形

内蔵温度計形は、シェダーバー(渦発生体)に温度センサー(Pt1000)を内蔵し、プロセス流体温度も同時に測定できるモデルです。
接続口径は25~300mmで、高温形、レデューサ形との組み合わせができ、幅広い流体に適用可能です。配管の中心部分に近い温度で補正演算をおこなうためより正確な流量を測定できます。外部圧力計の信号を電流入力機能(HART7通信、電流入力仕様を選択された場合)で取込み演算に用いることで、さらに正確な流量測定をサポートします。

内蔵温度計形

[内蔵温度計形の仕様]

本体タイプ 一般形
[組合せ可能な本体タイプ] レデューサ形 ( 1 もしくは 2 サイズ縮小)
渦発生体タイプ 内蔵温度計付 一般形、内蔵温度計付 ロングネック形
[組合せ可能な渦発生体タイプ] 内蔵温度計付 高温形
精度 液体 指示値の ± 0.75 %(レイノルズ数により異なります)
気体・蒸気 指示値の ± 1.0 %(流速により異なります)
プロセス温度 -40 ℃ ~ 250 ℃ (一般形やロングネック形の場合)
-40 ℃ ~ 400 ℃ (高温形の場合)
最大プロセス圧力 ASME クラス 900、EN PN100、JIS 40K、JPI クラス 600
周囲温度 -40 ( / -50 ) ℃ ~ 85 ℃
接続口径 ウエハ 25 ~ 100 mm
フランジ 25 ~ 300 mm
保護等級 IP66 / IP67

詳細な仕様は、「ドキュメント&ダウンロード」に掲載している一般仕様書にてご確認ください。

高温形 / 極低温形

高温形、極低温形は、高温環境、極低温環境に必要とされる材質やセンサを用いたモデルです。
高温形の接続口径は 25~400mm、流体温度450℃まで(内蔵温度計付の場合は400℃まで)の高温流体測定に対応します。極低温形の接続口径は15~100mm、流体温度-196℃までの低温流体に対応します。どちらのタイプも本モデルから、一体形も選択可能です。

高温形 / 極低温形

[高温形の仕様]

本体タイプ 一般形
[組合せ可能な本体タイプ] レデューサ形 ( 1 もしくは 2 サイズ縮小)
渦発生体タイプ 高温形
内蔵温度計付 高温形
精度 液体 指示値の ± 0.75 %(レイノルズ数により異なります)
気体・蒸気 指示値の ± 1.0 %(流速により異なります)
プロセス温度 -40 ℃ ~ 450 ℃
最大プロセス圧力 ASME クラス 900、EN PN100、JIS 40K、JPI クラス 600
周囲温度 -40 ( / -50 ) ℃ ~ 85 ℃
接続口径 ウエハ 25 ~ 100 mm
フランジ 25 ~ 400 mm
保護等級 IP66 / IP67

[極低温形の仕様]

本体タイプ 一般形
[組合せ可能な本体タイプ] レデューサ形 ( 1 もしくは 2 サイズ縮小)
渦発生体タイプ 極低温形
精度 液体 指示値の ± 0.75 %(レイノルズ数により異なります)
気体・蒸気 指示値の ± 1.0 %(流速により異なります)
プロセス温度 -196 ℃ ~ 250 ℃
最大プロセス圧力 ASME クラス 900、EN PN100、JIS 40K、JPI クラス 600
周囲温度 -40 ( / -50 ) ℃ ~ 85 ℃
接続口径 ウエハ 15 ~ 100 mm
フランジ 15 ~ 100 mm
保護等級 IP66 / IP67

詳細な仕様は、「ドキュメント&ダウンロード」に掲載している一般仕様書にてご確認ください。

レデューサ形 (1もしくは2サイズ縮小)

レデューサ形は、検出部の上下流両側がレデューサ(縮小管/拡大管)と一体となったモデルです。季節や操業負荷によって流量が大きく変動するラインに適しています。
レデューサには、1サイズ縮小と2サイズ縮小の2タイプがあり、対応する接続口径が200 mmまでのフランジタイプとなります。内蔵温度計付や高温形/極低温形との組合せが可能で、幅広い流体測定に適用可能です。

レデューサ形 (1もしくは2サイズ縮小)

[レデューサ形 ( 1 もしくは 2 サイズ縮小)の仕様]

本体タイプ レデューサ形 ( 1 もしくは 2 サイズ縮小)
渦発生体タイプ 一般形
[渦発生体組合せ] 内蔵温度計付 一般形、高温形
内蔵温度計付 高温形、極低温形
精度 液体 指示値の ± 1.0 %(レイノルズ数により異なります)
気体・蒸気 指示値の ± 1.0 %(流速により異なります)
プロセス温度 -40 ℃ ~ 250 ℃
最大プロセス圧力 ASME クラス 300、JIS 20K
周囲温度 -40 ( / -50 ) ℃ ~ 85 ℃
接続口径
フランジ 1 サイズ縮小 : 25 ~ 200 mm
2 サイズ縮小 : 40 ~ 200 mm
保護等級 IP66 / IP67

詳細な仕様は、「ドキュメント&ダウンロード」に掲載している一般仕様書にてご確認ください。

高圧形

ASMEクラス1500のフランジ定格圧力を持つ1サイズ縮小モデルです。高圧の過酷な環境下でも安定した測定が可能です。
接続対応口径は一般形センサと組合わせた 25~150mm のフランジタイプとなります。

高圧形

[高圧形の仕様]

本体タイプ 高圧レデューサ形 ( 1 サイズ縮小)
渦発生体タイプ 一般形
精度 液体 指示値の ± 1.0 %(レイノルズ数により異なります)
気体・蒸気 指示値の ± 1.0 %(流速により異なります)
プロセス温度 -40 ℃ ~ 250 ℃
最大プロセス圧力 ASME クラス 1500
周囲温度 -40 ( / -50 ) ℃ ~ 85 ℃
接続口径
フランジ 25 ~ 150 mm
保護等級 IP66 / IP67

詳細な仕様は、「ドキュメント&ダウンロード」に掲載している一般仕様書にてご確認ください。

VYシリーズの活用例

  • 蒸気配管の流量測定
  • 空気や窒素ガスなどユーティリティガスの流量測定
  • 温水・冷水、エネルギー、LNGその他の低温液体、化学物質(無機物含む)の流量測定

製品ライフサイクル全体を通じてお客様を支援する製品コンセプト「Total Insight」

From Sensing to Sensemaking

「Total Insight」とは、製品ライフサイクル全体を通じてお客様を支援する横河電機のフィールド製品共通のコンセプトです。卓越した技術と洞察力によって新しい価値を提供し、ライフサイクル全体の費用最適化を目指します。VYシリーズは「Total Insight」のコンセプトに基づいた4つの視点から開発されています。

  • Simplified Selection : エンジニアリング工数と調達コストの削減
  • Smart Assist : 運転立上げ時間の短縮
  • Process Guard : 操業効率向上とミスの削減
  • Expert Solution : 保全作業の効率向上

エンジニアリングと調達コストを削減/Total Insight - Simplified Selection -

Simplified Selection logo

さまざまな流量測定に応える充実のラインアップ

  • 機器選定をスムーズにおこなえます
    最大口径は 400 mm までの広い流量範囲に対応できます。レデューサ形は2サイズ縮小まで可能です。歴代のYEWFLOシリーズと面間寸法が同サイズで、安心して長くお使いいただけます。

機器選定をスムーズにおこなえます
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  • 幅広い規格に対応しています
    高い品質と機能で、以下の国際的な各種規格に対応しています。
    • 機能安全:IEC 61508 準拠 安全度水準 SIL2
    • 各国の防爆:日本、IECEx、ATEX、FM、FMc、台湾、UAE
    • 一般安全:各国 EMC、PED、EURoHS、CE マーク、CRN、ABS 船級、DNV 船級
    • 業界標準規格:NAMUR NE21、NE107、NACE 材料

 

  • 豊富な演算機能を内蔵しています
    内蔵温度計や電流入力による温度、圧力、密度を用いて体積、質量およびエネルギー流量を演算します。機器に内蔵している蒸気表を用いて飽和蒸気、過熱蒸気の質量やエネルギーを演算します。

運転立上げ時間の短縮/Total Insight - Smart Assist -

Smart Assist

振動に強く安定した流量測定を提供

  • 安定した測定を実現します
    渦発生体とセンサが一体になっている当社独自の構造は、渦発生体全体で渦信号を捉えます。取り付け姿勢によらず短い直管長で安定した測定が可能です。
  • 流量信号を的確に捉えます
    2つのセンサ素子を配置した独自の検出構造は配管振動ノイズをキャンセルします。横河電機独自のデジタル信号処理技術「SSP*」がノイズ信号を除去し、渦信号のみを取り出します。配管振動による誤出力の可能性はアラームで知らせます。

    *SSP:2つのセンサ素子から得られた信号からノイズ信号を除去し、渦信号を取り出す横河独自の信号処理 。

  • 設置してすぐに使用できます
    パラメータは工場で設定されて出荷されます。SSPによる自動調整機能により現場調整は基本的に不要です。設置してからすぐに使用できます。波形モニタリングを含むベリフィケーションツールは設置後の状態確認を容易にします。

運操業効率向上とミスの削減/Total Insight - Process Guard -

Process Guard

進化した自己診断とリモートメンテナンス

  • 機器全体の自己診断が可能です
    全ての機能ブロックを自己診断しています。機器保全が必要な箇所を簡単に特定できます。機能安全 SIL2 規格要求に適合しているため、安全計装などの高い信頼性が求められるループにも使用可能です。

渦流量計VYシリーズ 診断機能
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  • 計器室など離れた場所から機器の健全性を確認できます
    「FSA130 電磁流量計・渦流量計ベリフィケーションツール」(HART 通信専用) による対話形式のリモートメンテナンスが可能です。オシロスコープを持ち込むなどの大掛かりな準備が不要で、運転中でも容易に測定状態が確認でき、必要に応じてチューニングすることも可能です。

     

    * FSA130 電磁流量計・渦流量計 ベリフィケーションツール の詳細はこちら

 

  • 機器の状態基準保全をサポートします
    「FSA130 電磁流量計・渦流量計ベリフィケーションツール」(HART 通信専用) によるセンサ状態の予知が可能です。流量計内部に蓄積したセンサ素子の状態をグラフィカルに表示し、経年変化の確認とメンテナンスが必要な時期を推定します。

保全作業の効率向上/Total Insight - Expert Solution -

Expert Solution

効率的な保全活動をサポートする多彩な機能

  • プロセス側の異常と機器側の異常を簡単に切り分けられます
    プロセス診断機能は、配管振動や流体の揺動を検知します。自己診断機能は、機器の健全性を監視します。異常を切り分けられるため迅速で的確な対応が可能です。
  • メンテナンスが容易です
    横河電機独自の渦発生体構造は、堅牢性と長期安定性に定評がありますが、不測の事態には渦発生体を取り外して掃除や交換が可能です。渦発生体はボディからの脱着が容易で、流量計を配管からまるごと取り外す必要がありません。

 

  • ダウンタイムを短縮できます
    検出器のメモリに変換器のパラメータをバックアップできるので、変換器交換の場合は、簡単に原状復帰が可能です。短いダウンタイムで運転を再開できます。

技術情報 - 測定原理 -

渦流量計は「カルマン渦」の原理を利用して、液体、気体、蒸気の流量を測定するものです。その原理を解説します。

渦流量計の動作原理

  • カルマン渦とは?
    ハンガリー生まれの数学者・物理学者 セオドア・フォン・カルマンは、20 世紀初めに、液体または気体が障害物に垂直に流れる時、その障害物の両側に、交互に渦が発生することを発見しました。これらの渦の列は「カルマン渦列」と呼ばれています。

 

カルマン効果とは イメージ1

カルマンは、さらに、渦の発生数がその渦を発生させる流体の流速に比例することを見出しました。この発生数は「カルマン渦周波数」と呼ばれています。カルマン渦周波数と流速との関係は、式(1)で表わされます。さらに渦流量計の内部の構造との関係を表したのが式(2)です。この 2 つの式をまとめて、体積流量で表すと式(3)になります。

式 (1)カルマン効果 数式01

式 (2)カルマン効果 数式02

式 (3)カルマン効果 数式03

f:カルマン渦周波数、St:ストローハル数、v:流速、d:渦発生体の幅、Q:体積流量、D:渦流量計の内径

ストローハル数(St)とは渦発生体の形状、寸法によって決定される無次元数で、形状を適切に選ぶことにより、広いレイノルズ数範囲にわたって一定の値になります。図1 にレイノルズ数とストローハル数の関係を示します。

図1:ストローハル数(St)とレイノルズ数の関係
図1:ストローハル数( St )とレイノルズ数の関係

したがって、ストローハル数をあらかじめ把握しておけば、渦周波数を計測することにより流量を測定することができます。また、体積流量は流体の圧力、温度、密度、粘度などに無関係に測定できることが判ります。しかし、標準(基準)状態における体積流量や質量流量を測定する場合は、温度補正や圧力補正が必要です。

  • 渦周波数の測定方法は?
    渦が形成されて渦発生体(障害物)を通過する時、その部分の圧力が、流体の他の部分に比べて低くなります。この低圧が、渦発生体の両側に圧力差(dp)を生み、高圧側から低圧側に向けて渦発生体に応力がかかります。渦発生位置が規則的に切替わることによって低圧部の位置が入替わるとともに、応力の向きが交代し渦発生体が振動します。この振動の周波数が「カルマン渦周波数」です。
渦周波数の測定方法は?

生成される渦によって渦発生体の両側に低圧部と高圧部が生じ、低圧部に向けて力が働きます。渦の位置が左右入れ替わるにつれてこの力の方向が入替わり、渦発生体が振動します。

 

この振動を測定する手段としていくつかの製品が市販されています。もっとも一般的なのは膜センサと容量センサですが、この用途にもっとも適しているのは圧電結晶センサです。圧電結晶センサは、圧縮されると電気信号を生じ、それを流量計の電子回路で処理します。カルマン渦周波数を測定することによって(ストローハル数と円柱の直径は既知)、流量計の電子回路の簡単な演算で配管を通る体積流量を求めることができます。

技術情報 - 独自の信号処理技術 -

カルマン渦を利用した渦流量計は渦周波数を数える振動センサのため、外部の振動ノイズの影響を受けやすい性質がありますが、VYシリーズは横河電機独自の信号処理技術で常に安定測定が可能です。その仕組みをご紹介します。

ノイズの低減

渦流量計VYシリーズは、従来機種同様に横河電機独自の信号処理技術「SSP」を搭載しています。SSP は渦発生体から検出した信号を周波数解析して帯域ごとに分割し、ノイズを除去した正しい渦信号のみを透過させる最適なバンドバスフィルタを自動的に選択します。渦信号に振動ノイズが含まれていても渦信号のみを出力するため、安定した測定が可能です。

digitalYEWFLO渦流量計標準形 当社独自の信号処理技術 SSP(Spectral Signal Processing)

 

ノイズの低減

また、強い配管振動によるノイズは渦周波数の検出精度に影響を与える可能性がありますが、VYシリーズに搭載されている2つの圧電素子は極性を逆に配置しており、流れ方向や鉛直方向の振動は検出しません。揚力方向のノイズを低減して、渦信号のみを検出します。VYシリーズは、独自の技術による優れた耐振動性能や診断機能のもと常に安定した測定を提供します。

 

技術情報 - 設置状況に応じた必要直管長

一般的に渦流量計は、管内の流速分布に偏りが生じると、流量測定精度に影響が出ます。代表的な設置例と合わせて、必要直管長や主なポイントをご紹介します。

まっすぐな管

上流側 10D 以上、下流側 5D 以上を確保してください。

digitalYEWFLO渦流量計 まっすぐな管における必要直管長

 

縮小管

上流側 5D 以上、下流側 5D 以上を確保してください。

digitalYEWFLO渦流量計 縮小管における必要直管長

 

拡大管

上流側 10D 以上、下流側 5D 以上を確保してください。

digitalYEWFLO渦流量計 拡大管における必要直管長

 

曲がり菅
①単一の曲がり管の場合

上流側 10D 以上、下流側 5D 以上を確保してください。

digitalYEWFLO渦流量計 単一の曲がり管における必要直管長

 

②二重の曲がり管で、同一平面の場合

上流側 10D 以上、下流側 5D 以上を確保してください。

digitalYEWFLO渦流量計 二重の曲がり管で同一平面の場合における必要直管長

 

③二重の曲がり管で、同一平面ではない場合

上流側 20D 以上、下流側 5D 以上を確保してください。

digitalYEWFLO渦流量計 二重の曲がり管で、同一平面ではない場合における必要直管長

 

バルブの位置と直管長

バルブは渦流量計の下流側に設置してください。直管長の上流側は5〜10D以上(上記を参照)、下流側は 5D 以上を確保してください。やむをえずバルブを渦流量計の上流側に設置する場合、直管長は上流側 20D 以上、下流側 5D 以上を確保してください。

digitalYEWFLO渦流量計 バルブの位置と直管長

 

技術情報 - 取付姿勢 -

管内が常時均一な流体で満たされていれば、取付姿勢は水平・垂直・傾斜を問いません。ただし、水平配管並びに傾斜配管の場合、分離形検出器の端子箱および一体形の変換器への浸水を避けるために、必ず配管位置より上側になるように取り付けてください。図解でご説明します。

水平配管の場合

digitalYEWFLO渦流量計 水平配管の場合の取付姿勢

digitalYEWFLO渦流量計 水平配管の場合の変換器の向き

 

垂直配管の場合

digitalYEWFLO渦流量計 垂直配管の場合の取付姿勢                  digitalYEWFLO渦流量計 垂直配管の場合の取付姿勢

 

傾斜配管の場合

digitalYEWFLO渦流量計 傾斜配管の場合の取付姿勢                  digitalYEWFLO渦流量計 傾斜配管の場合の取付姿勢

 

関連情報

アプリケーションノート
メディア出版物
月刊「計装」7月号  
(月刊「計装」7月号)
6.6 MB
1版 1
メディア出版物
月刊「計装」1月号  
(月刊「計装」1月号)
5.5 MB
1版 1
検出部内の渦発生体により発生したカルマン渦によって生じた圧力の変化を電気信号に変換して出力する流量計です。 ...
流れの中に渦発生体と呼ばれる障害物を置くと、流体の粘性の影響で渦発生体の両側から渦が交互に規則正しく発生します。この渦は「カルマン渦列」と呼ばれ、渦発生体の下流に非対称に並びます。この渦の発生周波数が流速に比例する原理を応用しています。 ...
JIS Z 8766「渦流量計による流量測定方法」には、以下の点が特長として挙げられています。 1) 流量に比例した周波数出力が得られる。 2) カルマン渦による流体の振動現象を利用しており、基本的に機械的可動部を必要としていない。 3) 流量測定範囲が広い。 4) 液体、気体、蒸気のいずれも測定できる。 5) 流体の組織、密度、温度、圧力などにほとんど影響されずに体積流量が測定できる。 6) 流体種(液体, 気体, 蒸気)を問わないレイノルズ数基準で精度が規定されるため、水による出荷前の実流...
カタログ、一般仕様書、取扱説明書、外形図およびテクニカルインフォメーションなどがダウンロードできます。
渦信号を検出する渦発生体を検出部本体から外すことができます。このため、検出部内を掃除するなどのメンテナンスをすることができ、長期にわたり安定した運用をすることができます。また、検出器は2つのセンサ素子で構成されており、配管振動のノイズを効率的に除去することができ安定した測定を実現します。 ...
ゼロ点調整は必要ありません。渦流量計は原理的に渦発生体によりカルマン渦が発生しない状態(圧電センサが渦周波数を検知しない状態)をゼロ点としているためです。 渦流量計VYシリーズでは自己診断機能の充実により、使用時間に応じた時間基準保全ではなく、状態に応じた状態基準保全をサポートします。 ...
基本的には設置後の調整は不要です。VYシリーズ は デジタル信号処理技術のSSP 機能により電源投入直後より自動調整で運転します。過度の配管振動の影響を回避しなければならない場合にはマニュアル調整をすることができます。 ...
付加仕様: /Aを選択頂くことで交換可能な避雷器を付けることができます。このとき最大電源電圧は 30 V DC に制限されます。
変換器ケースおよび検出器端子箱は 90 度ごと( 4 方向)に向きを変更できます。非防爆品の場合は設置場所で作業を実施できますが、防爆品の場合は変換器を非危険場所に移してから実施して下さい。作業は取扱説明書を参照し必ず注意事項を守って実施して下さい。なお、付加仕様 (/RH)と指定事項にて手配時にご指定の向きに回転させ出荷することができます。 ...
機器の動作としては問題ありませんが、変換器の防水が完全にできる状況である以外は、さかさま設置はお勧めしてません。
ほとんどの流量計は検出器内部が流体で満たされた状態でないと正確な流量測定ができません。設置場所は下から上の流れが最適ですが、やむを得ず上から下の流れの場所に設置する場合には、必ず満水になる配慮をして下さい。 ...
長い間、配線口が上向きの場合、雨水などの滲入への注意が必要です。そのため、屋外などで垂直配管に取り付ける場合は、配線接続口を下向き、または横向きを推奨します。
渦流量計の場合、配管内の流れの旋回流や流速の不均一な分布などが測定に影響する場合があります。これらは、上流側の配管の具合、バルブ、ポンプ、ジョイントの不ぞろい、溶接バリの突き出し、その他の障害に起因します。このため整流は配管設計上重要な問題となり、必要直管長を守る必要性があります。 (参考: JIS Z8766 解説)必要直管長は配管設計により異なるため、取扱説明書に従い正しく設置して下さい。配管内の流れを整える、整流板を上流側に設置することも有効です。特注としてご用意しています。当社営業 にご...
GSの設置例の各要素が組み合わさっている場合は、各要素の必要直管長を加算して下さい。詳しくは、GS 01F07A00-01JAをお読みください。
測定状態に依存するため精度誤差を規定することは困難です。測定精度を保つためには必要直管長を考慮して下さい。
バルブによる旋回流の影響を防ぐため、渦流量計はバルブの上流側に設置することが望ましいです。渦流量計をバルブの下流側に設置する場合、バルブの種類を問わず直管長は上流側20D以上、下流側5D以上を確保して下さい。 ...
飽和蒸気圧とは、その温度で凝縮相熱力学的平衡に達している蒸気の示す圧力です(参考:JIS工業用語大辞典)。 液体はある一定以上の温度と圧力によって気化するため、キャビテーション(気泡の発生)が起こり、カルマン渦の発生を測定原理とする渦流量計では測定できない状態になります。そのため、飽和蒸気圧が必要になります。渦流量計では専用のサイジングプログラムにてお客様の仕様がキャビテーションを発生させる値となった場合、注意を促すメッセージを出します。このサイジングプログラム内で選択できる流体の場合は飽和蒸気...
標準でASMEクラス1500まで、特注でASMEクラス2500まで対応できます。弊社営業担当者にご相談ください。
電流入力機能を用いることで温度に加え圧力の変化に追従した測定が可能です。その時には外部の圧力伝送器の測定値を取り込む必要があります。そうすることで、温度や圧力の変化に追従した測定が可能です。 ...
温度計のセンサ異常が起こった場合、表示器にエラー番号が表示されます。ベリフィケーションツールを利用しての自己診断をすることができます。詳細はIM 01F07A02-01JAを参照してください。 ...
400㎜は特注となります。弊社営業担当者にご相談ください。
レデューサ形の必要直管長は一般形と同じ(配管口径)です。短くはなりません。詳細はGS 01F07A00-01JAを参照してください。
1サイズ縮小(本体タイプ-1, -4)は15%程度、2サイズ縮小(本体タイプ-2)は28%程度大きくなります。
流体により異なりますが、最大で40:1前後(一般形)です。
供給可能です。弊社営業担当者にご相談ください。
標準仕様で対応可能です。一般名称としてニッケル合金と記載しております。GSを参照ください。
サイジングデータがあれば対応可能です。弊社営業担当者に相談ください。

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概要:

デジタル化技術で進化した自己診断とリモートメンテナンス機能により、機器の状況に応じて効率的かつ計画的なメンテナンスを行う状態基準保全 (Condition Based Maintenance: CBM) をサポートします。YEWFLO シリーズから継承した横河独自の検出構造は堅牢で長期的に安定した測定を実現します。

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