味の素食品株式会社様 生産実行システム導入プロジェクト
About Project
食品業界においてグローバルトップメーカーである味の素グループの味の素食品様。生産ライン拡張の為工場を再構築(新設工場含む)するにあたり、変種変量生産に対応する高度なオペレーションを支えるシステムを構築したいという思いから、当社にお声がけいただきプロジェクトが始動。万全のサポート環境のもと、若手社員を中心としたプロジェクトチームでお客様との信頼関係を深め、お客様と当社の垣根を超えた1つのチームとして新たな工場を目指していきます。
Project Members
城定 和治
営業
山口 啓太
システムエンジニア
窪田 悠伽
システムエンジニア
黒沢 潤
セールスエンジニア
(設計コンサルタントを担当)
お客様の要望に丁寧に耳を傾け、ソリューションを一緒に考える
味の素食品様の技術力は非常に高く、以前より先進的システムを組み込み、自動化することに力を入れられていました。現場の方々が様々なシステムや情報を管理・運用されていましたが、工場を新設するに伴い、すべての設備や周辺システムを連携し運用していきたいという思いを抱えていました。その時に声がかかったのが、私たち、横河ソリューションサービスです。以前から味の素食品様にはご提案の機会があり、我々の存在を覚えてくださっていたのです。
最初に行ったのは要件定義です。要件定義とは、お客様とあらゆることを検討し、どのようにシステムを構築していくかを合意する大切な作業です。システム構築を受注する前からこうした密接なコミュニケーションが始まります。そこで大事なのは、なんといってもお客様の課題を真摯に受け止めたうえでご提案を行うこと。お客様のニーズを汲み取って提案する段階から関係性の構築が始まっていくのです。
未来に向けたコンセプトづくり
今回の味の素食品様の場合、新たに作る工場で何をしたいか、どんな設備を入れたいか、それらをどのように動かしていくのが最適かなどを、お客様と一緒に6ヶ月間考えていきました。一緒に考える時間を十分に持てたからこそ、味の素食品様と横河ソリューションサービスの思いが詰まったコンセプトが出来上がりました。その中で出たご要望は大きく分けて2つ。1つ目は、変種変量生産に耐えられる工場づくりです。誰もが知る食品業界の大企業であるため、数えきれないほどの商品数をお持ちであり、色々な種類の商品を、日々変化する市場に合わせて生産量を調整しなければなりません。既設の工場では、様々なシステムを人の力でどうにか組み合わせることで対応をしていました。そこで、新しい工場では複数のシステムや設備を連携した新しい基盤で工場全体を運用し、必要な人手を節約し、より付加価値の高い仕事に人手を回していきたい。これが第一優先でした。
そして、導入後のシステム維持・運用も末永く安心して当社に任せたいというのが2つ目のご要望でした。そこで、当時2年目の若手エンジニアだった窪田を今回のプロジェクトの中心に据えることにしました。
Chapter 01
細かな気遣いがお客様と横河ソリューションサービスをつなぐ
当初は若手社員をプロジェクトの中心に据えることに対して、お客様から不安の声もあがりました。もちろん、お客様からしてみれば、ベテランのエンジニア中心の体制を構築してもらいたいという気持ちも分かります。しかし、今回はシステム維持・運用を末永く安心して任せたいというご要望もあり、これから先、横河ソリューションサービスを担う若い人財をプロジェクトの中心に据えることが必要だと考えました。そこで、ベテランエンジニアの山口も参画することをお客様に説明し、安心していただいた上で、プロジェクトを開始。結果的に、この采配がお客様の大きな信頼を勝ち取ることにつながったのです。
若手社員の挑戦
本プロジェクトで肝となるのは、工場をただ新しく建てるのではなく、既存の工場を含めて新しくすることにあります。作業期間中も工場としての機能を保ち、製品を生産できる状態にしなければなりませんでした。つまり、既存の生産設備とつなぎ合わせながら、新しいシステムや設備を段階的に導入していく必要がありました。そのため、プロジェクトは3年をかけて行われ、作業内容も複数のメンバーで協力して行うものが多くありました。
まず、エンジニアの窪田が行ったのはタスクの可視化です。窪田は先輩より受けたアドバイスをもとに作業を細分化し、Excelやホワイトボードを用いてその日にやることと担当するメンバーの確認を行いました。皆が見える状態にすることで、リモートワークも活用しつつ複雑な作業も全員でミスなく進めていきました。更に、お客様とお話する中でも、お客様の言葉や声のトーン、表情に気を付けながら説明したり、操作に悩んでいる様子の方がいらっしゃったら「何か困っていることはありませんか?」と声をかけたりするなど、コミュニケーションを常に大事にしていました。システムを構築するエンジニアとして、システムを言われた通りに作るだけではなく、お客様が達成したい目的に合わせてシステムを上手く活用してもらうためです。実際、システムをご担当される方だけではなく、現場オペレーターの方々の困りごともお聞きし、吸収することで新たな提案につなげました。「人と人とのつながりを大切にしてシステム構築を成し遂げたい」という思いが表れた細やかな気遣いによって、徐々にお客様から大きな信頼をいただけるようになりました。
信頼関係を第一に
ITの活用も信頼獲得に大きく貢献した一因です。Web会議アプリの活用により遠方にいるベテランエンジニアの山口ともすぐに会話ができる環境を整えたこと、味の素食品様にもWeb会議等での情報共有にご理解いただけたことでタイムリーな対応ができました。バックアップ体制がきちんと整っていることにお客様も安心し、窪田も自分の力を遺憾なく発揮することができました。
プロジェクトを遂行していく中で私たちがお客様のシステムに手を加えなければいけない時や、調査が必要になった際には、少しの間、生産を止めていただくことがあります。生産を止めることは、そう簡単なことではありません。それでも、味の素食品様は私たちの意図をすぐにくみ取り、先陣を切って作業しやすい環境を整えてくださいました。このように味の素食品様と私たち横河ソリューションサービスが志を一つにできたことで何度も救われる場面がありました。お客様も一緒に1つのチームとして本プロジェクトに取り組むことができて良かったと心から思っています。
Chapter 02
「あたりまえ」の日常生活を守るために
本プロジェクトにおける私たちの大きな使命は、皆さんの「あたりまえ」の食卓を支えている味の素食品様の生産環境を永続的に守ることです。味の素食品様の工場では、皆さんが毎日、口にするような商品の原料がたくさん作られています。私たち横河ソリューションサービスのシステムが止まってしまうと、当然生産も止まってしまい、製品が出荷できず、市場に大きな影響を与えることになります。“お客様の生産活動を止めない“、安定した食料の供給を守り続けることが私たちの使命です。
更に、新たに導入するシステムによって自動化・省力化を図り、これまで工場の運用に割かれていた貴重な人財の力を新しい製品の開発や現場の改善などより付加価値の高い仕事へシフトすることができるようになります。私たちの目的は人を減らすことではありません。今、働いている方々を最大限活用できるようにすることなのです。安定した食料供給環境を守りつつ、企業としてのお客様の更なる発展にも寄与することも私たちの仕事のうちの1つだと考えています。
社会課題への取り組み
私たちのシステムはフードロスの削減にも貢献しています。例えば、今回導入するシステムによって、誤投入などの作業ミスを防止することが可能になります。誤った原料を投入してしまうと、当然その製品は廃棄となります。こうした事故を事前に防ぐことでフードロスの大きな削減、ひいてはSDGsへの貢献など社会課題解決にもつながります。
私たちの仕事は地道な作業の積み重ねです。しかし、コツコツ毎日確実に積み上げることで、社会を支え、大きな課題にも立ち向かっていくことができます。私たち横河ソリューションサービスのこうした実直な姿勢がお客様から評価されています。
Well-beingを支える
今回のお仕事で、「食」という私たちにとって「あたりまえ」になっている日常生活をシステムによって守ることの責任とやりがいを改めて実感しました。小さな子どもからお年寄りまで、美味しいものを安心して食べられる世界がずっと続く。その「あたりまえ」を作る味の素食品様を、私たち横河ソリューションサービスが支えています。
味の素食品様から私たちにご依頼いただいたのは最適な生産実行システムを作ることでした。単なるエンジニアとして、言われた通りのシステムを作るだけではなく、味の素食品様が末永く安定した企業活動ができるよう支えていく責任が私たちにはあります。今後も続く関係のなかで、味の素食品様の更なる発展の礎として当社の力をいかんなく発揮していきます。
Chapter 03
城定
今回のプロジェクトは、味の素食品様の全国にある工場のモデルケースとなり、国内の基幹工場にするという目標でスタートしました。重大なプロジェクトをうまく進めることができたのは、チームの力といっても過言ではありません。なにより、味の素食品様と横河ソリューションサービスの垣根を超えたチームとしての信頼関係に何度も救われました。このプロジェクトはここで終わりではありません。今後も横河ソリューションサービスが一丸となってサポートし、日本の食卓を支えていきます。